先日、軽井沢のあるリゾートホテルにて覆面調査のご依頼をいただきました。
全般にハイクオリティなサービスでしたが、抜群に素晴らしいレストランスタッフの方(仮にAさんとします)が目に止まったので、高く評価させていただいたポイントを解説してみようと思います。
- 姿勢が美しく、丁寧なお辞儀
- 指先まで気持ちのこもった所作
- にこやかな笑顔と適切なアイコンタクト
- そして何より、抜群の会話力
実は、これらの点はトレーニングで強化することもできますが、本人の職業観に負う部分が大きい領域です。
心に残る会話の一例
私:「メインディッシュもとっても美味しかったです」
Aさん:「ありがとうございます。最後のデザートもシェフの渾身の作ですので、楽しみにしていてください」
この一言で、私は既に十分満足していたにもかかわらず、さらなる期待感を抱きました。
デザートを待つ時間さえも楽しみになったのです。
「ありがとうございます」
「シェフに伝えます」
といった応答が一般的であり、それでもマイナスは特にありません。
しかし、Aさんの返し方は、期待を遥かに上回るものでした。
楽しんでいるから質が高くなる
彼女のサービス品質が他のスタッフと一線を画していた理由。
それは「いかに仕事を楽しめているか」だとこれまでの経験から推定できます。
1. お客様の満足を深く理解している
2. 一つ一つの言葉のやり取りを大切にしている
3. 自らの仕事に誇りと喜びを感じている
このような姿勢は、心から仕事を楽しんでいなければ決して生まれるものではありません。
好循環を生み出す「仕事を楽しむ」姿勢
1. 日々の仕事を楽しむことで、多くの情報やチャンスが得られる
2. それによって、さらに仕事が楽しくなる
3. 楽しんで働く人に接客されるお客様も、自然と楽しめる
この好循環が、卓越したサービスの根源であると私たちは考えています。
また、この循環をブランドストーリーに沿って積み重ねていくことが、接客によってブランド・エクイティを高めることとほぼイコールなのです。
高い顧客体験を生み出す姿勢
個人として仕事の質を高め続けること。
ブランドストーリーを深く理解すること。
この2つを高い次元でバランスさせることこそが、ブランドストーリーの体現者として豊かな顧客体験を生み出す源泉となるのです。
そして、深い満足を得たお客様の笑顔や感謝の言葉は、サービスパーソンにとって何よりの報酬と言えるのではないでしょうか。
ラグジュアリーブランドともなれば、お客様の期待値はそれなりに高いもの。
そつのない接客スキルはあって当たり前で、及第点を取っただけでは感動は生まれません。
お客様の期待を遥かに超えるサービス。
それは、サービスパーソンとしてのあなたの姿勢から醸し出されるものではないでしょうか。