人間力が試される時代 〜AIと共生する未来で求められる本質〜

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二極化の潮流

私たちは今、岐路に立たされています。
あらゆるサービスが、効率を追求する「標準化」と、個人の専門性に基づく「属人化」という二つの方向に分かれつつあります。

特に人が介在する業務では、その人の在り方と関係構築能力の重要性が増しています。
高付加価値のサービスは属人化へ、基本的なサービスは標準化へと向かい、その道を極めることが生き残りの鍵となるでしょう。

中途半端な品質の仕事は、AIや機械による代替を避けられないからです。

人間性を表現する仕事の価値

自分の個性と人間性を存分に発揮する仕事と、機械的に処理する仕事、どちらに価値を見出せるでしょうか。

私は、人間性を表現する仕事にこそ、真の価値があると確信しています。
人にしかできない仕事の価値を高めることは、職業人としての喜びであると同時に、これからの時代を生き抜くための必須スキルとなるからです。

たとえば、サービスパーソンが、接客の現場でお客様一人ひとりに寄り添い、真心のこもったサービスを提供する。
そこには担当者の人間性が色濃く反映され、顧客はそれを感じ取って価値を判断しています。

社内でのコミュニケーションにおいても、相手の立場に立ち、気持ちを汲み取ろうとする姿勢が一層重要になっていくでしょう。
業務の機械化・自動化が進むほど、人の仕事における人間性の真価が際立ってくるからです。
機械は正確で画一的な仕事をするからこそ、人間が丁寧な仕事をすれば、その付加価値が認識されやすくなるのです。

上司による部下の成長支援、同僚が相互に強みを活すこと ― このような関係性は、人と人との絆があってこそ成り立ちます。
良好な人間関係は、組織の生産性向上に不可欠な要素なのです。

おもてなしの心が育む人間力

自身の人間性を磨き、人としての在り方を高めていくこと。
これは、これからのビジネスパーソンが仕事を通して自己実現するための必須条件です。

人の心に真に寄り添えるのは、自己の内面と真摯に向き合い人間的な成長を続ける者だけです。

そして、優れた人格と対人スキルを持つ人々の共通点として、必ず「おもてなしの心」が存在します。

おもてなしの心を育むことは、すなわち人としての資質を高めることに他なりません。

機械的な対応ではなく、心を込めて相手に接する。
その積み重ねが質の高いサービスを生み出し、強固な信頼関係を築いていくのです。

標準化・効率化の波に飲まれるのではなく、私たち一人ひとりが、自らの人格を高め人間性を存分に発揮していくこと。
それが、眼前の大波を乗り越える方法だと私は考えます。

機械は進化し、人間は成長する。
機械にできることは機械に委ね、人間にしかできないことを追求する。
その先に、人間が「人間らしさ」を、個人が「自分らしさ」を謳歌できる世界が広がっているのではないでしょうか。